メンズコレドタバタ日記 ミラノ初日は「エンポリオ」に感動、「ドルチェ&ガッバーナ」で猛ダッシュ

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iPhoneのお天気アプリによると、最低気温17度、最高気温29度(実際はもっと暑かったような……)という爽やかな土曜日。朝イチは、後輩オーツカと二手に分かれ、僕は怒涛のシューズブランド3連発です。

ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」は、1960年代に一世を風靡したミュージシャン、マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)に思いを馳せて。ダンガリーシャツにスタッズを打ち込んじゃったマーヴィンのように、チェルシーブーツにはターコイズも加えたマルチスタッズ、動物柄はレオパードやゼブラの切り返しなど自由奔放。アメリカ西海岸っぽいパステルカラーは、朝イチのフレッシュな気分にピッタリです。

2つ目は、「ジュゼッペ ザノッティ(GIUSEPPE ZANOTTI)」。太陽の光を浴びるとパープルに染まったり、ソールまでゴールドだったりの基幹スニーカー“アーチン(日本語でウニという意味です)”などなど“エロい”スニーカーがいっぱい。

3つ目の「フィリップ モデル(PHILIPPE MODEL)」は、ディストリビューターが伊藤忠商事&ウールン商会から、豊田貿易に。もう一度、レトロなスニーカーをプッシュするそうで、「カッコいい中年に、スーツ地のパンツと合わせて欲しいなぁ」と思うのです。

最初のショーは「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」。自社のショー会場、テアトロ / アルマーニは、レイアウトが思いっきり変わって、座席数が200も減。もはやアルマーニでさえ規模ではない?ショーを待つ間は、次世代のランウエイショーはどんなモノになっているのか?そんなことを考えました。

コレクションは、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」よりも若々しくあるべきブランドらしいストリート。とはいえ、ブルゾンは絶妙なニュアンスあるパステルカラーに染めたリネン製だったり、さらにはそこに陰影を表現すべくジャカードを選んだり。色、素材の両面からアルマーニらしさが光り、シャカシャカナイロンに原色のブロッキングという既存のストリートとは一線を画します。

フィナーレは、イタリア国旗の周りをイタリア代表のオリンピック・パラリンピック選手がウォーキング。アルマーニは、イタリア代表のユニホームを手がけています。ファッションとスポーツ、そこにナショナル・アイデンティティが融合していて、本当に羨ましい!日本もこうならないかな。

クリエイティブ集団スラム ジャム(SLAM JAM)による「マリアーノ(MAGLIANO)」のコレクションは、一転して最悪。差別的なスタッフがイタリア語しか喋らず、お友達だけを中に入れてプレスやバイヤーは待ちぼうけ。そもそも招待状が、おそらく彼らの怠慢で届いていないから混乱はますますカオスに。ストリートブーム以来、若手の参入が活発なのは良いことですが、正直ショーを開くレベルになかったり、運営がとても杜撰だったり、時には会場にマリファナの匂いが漂っていたり‼︎ファッションショーとストリートの融合はまだまだ過渡期で課題もたくさん。汗だくになりながら、行列に揉みくちゃにされながら、そんなことを考えキレていました。

「ザネラート(ZANELATO)」のプレゼンテーションは、時流に即した“ジェンダー”の既成概念を崩すもの。メンズモデルが赤、ウィメンズモデルが青いボディバッグだったり、同じ商品を抱えていたり。色やサイズに応じてメンズ、ウィメンズと区別していたのをやめるそう。良い考え!賛同しちゃいます。

最近、ミラノは男女合同のコーエドショー(Co-ed Show)が増えて、ちょっとスケジュールに余裕あり。ということで、ランチをサクッと。イタリアに入ってからパスタとピザを食べ過ぎてて、せっかく1ケタまで落ちた体脂肪率が増加中。ということで、ここはストイックにおサカナランチです。お値段15ユーロ(約1800円)。おいしゅうございました。

優雅にランチしてたら、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」の時間だ!慌てて会計を済ませ、タクシーをお願いするも、なかなかつかまらず。「ヤバい!」と思って、「ザネラート」のオフィスまで戻ってお願い。ゲットしてくださって、日本チームのラストでしたが無事到着です。

コレクションは、「ドルチェ」(←略する時は「ドルチェ」と言うのがちょっと通w。ステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)には申し訳ないのですがw)らしいシチリア島由来のバロックテイストにジャングルムードをてんこ盛り。怒涛の119ルックです。

ミラノ・ファッション・ウィーク主催団体による組織に加盟しているブランドのショーには、会場に向かうシャトルバスが用意されます。しかし「ドルチェ&ガッバーナ」は協会未加入。ゆえに前後にバスは走りません。我々は自力で移動しなくちゃならないのです。そして、この移動がミラノメンズ一番の鬼門。毎回100ルック超えの「ドルチェ&ガッバーナ」はショーの長さが通常の約2倍、20分を超える一大スペクタクルで、それはそれは楽しいのですが、その後の移動時間が削られます。しかも「マルニ(MARNI)」のショー会場は、結構遠い。加えてミラノはタクシーが少なく、Uberが走ってない(泣)。ということでショーが終わるとダッシュでタクシー乗り場に向かわなければなりません。コレクション取材を始めてもうすぐ15年。おかげでショー会場からの退出は、メチャクチャ早くなりました。1分前までモデルがウォーキングしていたランウエイをダッシュして、タクシー乗り場に1番で到着。無事、「マルニ」に間に合いました。

「マルニ」のショーは、後輩オーツカと対談形式で振り返りますので、別記事をどうぞ。

さぁ、ここからは終盤のバタバタが始まります(笑)。バスで「ニール・バレット(NEIL BARRETT)」に到着。いつになくカレッジライクでストリートなスタイル。2019-20年秋冬には収束したように思えましたが、ちょっとカムバックしているストリートのムードは根強いです。

25分ほど歩いて到着したのは、「ブリオーニ(BRIONI)」。「ブリオーニ」な男性の1日を、マネキン使って描きます。現在市場に出回る中で最も薄いカシミヤ100%の生地で作ったジャケットは、ドレープの入り方がもはや薄手のカーディガン。ガーメントダイ(完成した洋服を染色する技法のこと。通常は糸、もしくは生地を染色するのが一般的です)したシルク100%のジャケットも素敵です。

お風呂やベッドで横にたたずんだり、クラブで“MAJIでチュウする5秒前”みたいに見つめ合ったりの女性マネキンとのディスプレイが艶っぽいですね(笑)。

「ヴェルサーチ」改め「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のコレクションは、今シーズンも華やか。中盤以降はネオンカラーのタイダイデニム、スカーフプリントを組み合わせたシルクシャツ、ラメラメのニットなど、キラキラです。

「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」は、マルセロの下で働いてるデザイナーが変わったのかな?驚くほどあっさりしたベーシックウエアで拍子抜けです。会場のオブジェはスゴかったけれど、洋服は何もかもがシンプル。もうちょっと“ブランドらしさ”を考え、盛り込んで欲しかったな。

本日は楽しみにしていた会食。シーフードの名店、アル ポルトで、海の幸を堪能してフィニート(お終い)です。話が盛り上がり、ホテルに戻ったのは、日付が変わる頃でした。

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